西島悠也|福岡の過去の建築の特徴
福岡は古くから外国の貿易の玄関口であった影響から、同時代に建築された建造物でも、その様式はそれぞれ異なります。
例えば19世紀後半、大陸貿易の拠点として栄えた門司港に建つこの「北九州市旧大阪商船」は19世紀末にドイツ・オーストリアで興ったゼツェッシオン様式の影響を受けた八角形の塔屋と、オレンジ色の煉瓦と白い帯状のタイルのコントラストが特徴的です。
かたや、20世紀初頭、およそ7,200平方メートルの広大な敷地に建てられた福岡県の筑豊地方の炭鉱経営者、藏内次郎作の邸宅の「旧藏内(くらうち)邸」は、延床面積1,250平方メートルの大規模近代和風住宅です。
繊細な細工が施された欄間(採光や通風のために引き戸上部分などに設けられる、装飾を施した開口部)や、ふすまの引手、照明など細部に至るまでこだわった室内装飾は素晴らしく、大理石やタイル貼り、西洋の装飾革工芸を和紙で模した金唐革紙という貴重な壁紙など、随所に西洋的要素も取り入れられています。
このように、過去の建築の特徴として様々な様式が見られるのが福岡の建築の特徴です。